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2008年1月 2日 (水)

そのケータイはXXで:書籍レビュー

映画「エクスクロス」の原作であり、タイトルのXXはエクスクロスと読みます。

ジェットコースタースリラーと題された本作を手に取り、最初に思った第一印象はこういう出版のされ方をする小説は多分、面白いものなんだろうな、といった漠然としたイメージ。

「第一回 このミステリーがすごい!大賞」の最終候補作として残り、惜しくも選には漏れたものの、原稿を読んだ編集者が捨てがたい魅力を感じたため、特例として出版されることになり、そしてすぐに映画化が決定された、というのがその経緯です。

「リング」「バトル・ロワイアル」「ホワイトアウト」を見たときに感じた面白そうな匂いがこの作品にも漂っており、読んでみました。作者は20代後半、作家を目指しながら現在某ホテルのベルボーイとして勤務されている方とのことです。

一読後、感じたものは「面白いんだけど…」でした。この「…」の部分が微妙な作品で、確かにグイグイと息をつかせぬ展開で物語に引っ張り込まれ、ハラハラドキドキの連続なんですが、あまりに情報過剰というか表現過多というか、支離滅裂の数歩手前というか…。

プロット自体は凄く面白そうです。女友達と失恋の痛手を癒すための温泉旅行に出掛けた主人公の女子大生は、偶然立ち寄った妙な違和感の漂う阿鹿里村(あしかりむら)というひなびた村の旅館の押入れで、持ち主不明の古い携帯を拾います。その電話にかかってきた第一声が「逃げろ!そこから逃げるんだ!足を切り落とされるぞ!」という切羽詰った忠告、片目を潰され片手片足を切り落とされ、生き神様として座敷牢に死ぬまで繋がれるというこの村に残る風習、そして阿鹿里(足刈り)の里の中を主人公たちは逃げ惑い、追い詰められ、闘う羽目になるという、スリラーアクションとしてはもう存分に楽しめるシチュエーションです。

ただ先に述べたように表現過剰な描写や、「こんな状況でそんなこと普通しねーだろ?」とか、「なんでこの状況下でそんなに冷静に対応してるねん?」いう突っ込みをかましたくなるシーンが多々登場するため、そっちに意識を取られてしまうのが何とも勿体無い。サービス過剰の駄菓子屋というか、頭から尻尾まであんこがぎっしり詰まったタイヤキ(ただし餡は高級品ではなく普通レベル)というか、「面白いんだけど…」なんです。物語に惹きつける構成力・文章力は確かにあるんですが、そのパワーが作品のなかに散漫に(意図的?)点在してしまい、読後感に何か物足りないものを感じてしまう出来というか。

面白ければ、次巻以降(地獄のババぬき)も読んでみようかと思ってましたが、ちょっとどうしようか思案中。多分面白いんだろうけど…。

宝島社文庫「そのケータイはXX(エクスクロス)で」 (宝島社文庫) Book 宝島社文庫「そのケータイはXX(エクスクロス)で」 (宝島社文庫)

著者:上甲 宣之
販売元:宝島社
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