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2011年8月24日 (水)

仮面ライダーオーズ第47話「赤いヒビと満足と映司の器」レビュー(1)

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先週、アンクが何故クスクシェに立ち寄り、そして映司の元に行ったのかをずっと考えてました。彼は本当は何がしたかったのか。

人は悩んだとき、誰かに相談しようと思う事があります。そして誰かに相談するってのは、実はその段階では自分の中で既に解答が出ている事が多く、実質的にはその己の結論の「背」を押して欲しい、確認が欲しいだけじゃないのかとよく言われます。

一連の行動は、ぶっきらぼうで粗暴でまだ人間関係に不慣れなアンクらしい「相談」ではなかったでしょうか。自分でも意識せず、己の結論を誰かに「それでいいんだよ」と認めて欲しかったのではないでしょうか。

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暴走し始めた映司と闘い始めるアンク。暴走し、己を見失いかけている映司はやがて劣勢へと陥っていきます。

「アンクくん、倒すならさっさと倒して下さい」

「引っ込んでろ!お前に言われるまでもない!こいつを倒す…命を手に入れる為に…」

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火球を作り映司に狙いを定めるその刹那、アンクの脳裏をよぎったものは先刻の映司の一言。余りにも唐突で、予想も付かず、そしてそれ故に深く心の中に突き刺さってしまった言葉。

(…ありがとう…)

「!!」

気が付いた時には、アンクの腕は自分でも意識せず、その着弾点を映司から外していました。「なんで…何でだぁッ!」「なにがありがとうだ!」その狙いを外させた意識の存在に狼狽し、戸惑うアンク。本心では分かっているのに、意固地になっている自意識はそれを認めようとはせず、ただひたすら映司を殴り続ける。

(お前から貰ってたんだ…)(ああ、力が手に入る)

「渡すんじゃなかった!…こんな奴に…!」

(刑事さんもそいつも朝からの長い付き合いだから…)

「こんな…」

(お前のメダルじゃない。あいつのだッ!)

否定したいこの気持ち。しかしそれを抑えても抑えても湧き上がってくるある気持ち。俺は、映司が、映司達が好きなんだと云う真実。この連中と過ごしてきた1年間が自分にとってどれほど大切な時間だったのかを思い知る瞬間。

ここへ来てもまだ映司が見せる掛け値なしの信頼。仲間に対する感謝。それに応える資格が自分にあるかどうかの迷い、そして怯え。「渡すんじゃなかった」の言葉はそんな今の状況そのものを全部否定してリセットしてしまいたい表層の想い。今の自分の気持ちをまだ受け止めきれないでいるアンクの迷い。

「映司…力が欲しいなら…こんな程度で暴走してんなッ!」

殴り飛ばされ、変身が解け海に倒れこむ映司。もはや意識も朦朧となったまま、それでもまだ立ち上がろうとします。これはプトティラの暴走の為せる業なのか、それとも…。

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「この…馬鹿が…」

「まだ抵抗するんですか。火野君、本当に後戻り出来なくなりますよ」

映司 「それでも…これは…要るから…」

「アンクくん、やはり彼は消してしまいましょう」

映司 「アンク…何でここに…?あぁ、忘れてた…約束…」

「あぁ?」

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「1年分のアイス…今日の分…」

混濁した意識のなかでも、映司はかつてアンクと交した約束を忘れていませんでした。ポケットの中からヨロヨロとパンツに包まれた小銭を取り出そうとする映司。この明日のパンツと少しのお金だけが映司の持っているもの。それを躊躇い無く分け与えるのは、15話でアンクと交した約束があるから。

メダル輸送車の謀略に巻き込まれた比奈を助ける為に映司が知恵を絞ってアンクと交した約束。

「アイスキャンディ1年分だ!それに比奈ちゃんを助けたらコアメダルは俺が絶対取り返す!」 「乗った!」 映司はあれ以来ずっとこの約束を守ってきたのでしょう。アンクが裏切ってグリード側についたときはともかくとして。約束の重み。約束を果たそうとする者への想い。

ここでアンクが本当に欲しかったものとは何だったのか、今一度考えてみましょう。

「世界を確かに味わうための命」が欲しいとアンクは叫んでいました。欲望が物質化し集合する事で擬似生命体として存在しているグリード。しかし、欲望とは本来、「欲求が満たされた記憶」によって生じる感情であって、満たされた記憶すらなくただ純粋に欲望のみを抽出させて出来上がったグリード達は、永遠に欲するだけで、その欲望を充足させる為の手段も感覚もありません。これは映司がグリード化しつつある段階で世界がモノクロに見えたり、食べ物の味が分からなくなるなどの描写にも現れています。

欲望に従い、手に入れてもその欲望を充足させる事が出来ない、だから永遠に飢え続け、喰らい続け、最後には世界そのものを消滅させる存在。

ただ、アンクはその名前(エジプト十字架)が示す通り、ヒトとグリードが交わった存在でもあります。ヒトの感覚器官を、ヒトの記憶を、ヒトの認識力を用いる事でアンクは欲望の充足の一端を知る事になりました。(その象徴がアイスキャンディなのだと思います)

しかし、アンクが本当に望んでいたもの。それはこの1年をかけて培われてきた人間としての存在。世界を味わう為の器ではなく、世界に対し「繋がって」いく為の器のあり方なのではないでしょうか。米の心理学者マズローの説く「承認欲求」「帰属欲求」こそがアンクの望むものだったのだと今は思っています。

そしてそれは800年の孤独と、人として暮らした1年弱の時間がもたらしたものなのではないでしょうか。誰かから認められたい・認識されたい、仲間達に属していたい、これらの欲求は泉刑事の記憶の補填を借りて、アンク自身の欲望にまで成長したのかもしれません。これらは決してグリードの仲間からは得る事が出来ないものだったからです。

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「では火野くん、よき終わりを…」

止めを刺そうとしないアンクに変わりグリード化した右腕を映司に突き立てようとする真木。しかしその手はアンクの右腕が直前でしっかりと抑え込んでいたのです。

「…何のつもりですか?」

「さァ…俺も何のつもりなんだか…」

「離しなさい…」

「そのつもりはない!」

考えるよりも先に身体が動いたアンク。既に答えは出ているのです。気が付かないのが、認めようとしないのが本人だけと云うのが何とも哀しい。

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そして戦闘状態に入ったアンクの炎が真木の腕のキヨちゃん人形に燃え移ります!ここからはDr.の一人コントの独壇場。記憶の中の火事のトラウマが大事なキヨちゃんを海に投げ捨てさせてしまいます。

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「ダメダカラァ!投ゲチャ駄目ダカラァ!ナイヨ!ナイヨ!眼鏡モナイヨ!ア?僕泳ゲタヨ!泳ゲタヨ」

凄まじいばかりの壊れっぷり。もう見事というしかありません。世界の終わりを救うにはキヨちゃん人形を何とかすれば良いのかもしれません。演じる神尾さんもインタビューでこれらのキレ演技がとても印象に残ってるんだけど、大抵場面転換の直前だからカットされちゃうと嘆いていました。カットされていてこれですか…。すげえです正直。

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「ボ…ボブ・マーリー!」

キヨちゃんの頭に乗った海草をボブ・マーリー!と叫んで払い落とすギャグなんて子供には分からんだろーなー。レゲエの神様ですよ。ちなみに。この海草がドレッドヘアを想起させると云う部分で生まれたギャグですが、これも神尾さんのアドリブ臭い気がしますよ(笑)

ちなみにこの方↓です。このLIVE!は名盤中の名盤ですよ。私も大好きで昔何度も聴いてました。

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アーティスト:ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
販売元:USMジャパン
発売日:2011/04/27
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どうやらまた長くなってます。また(2)へ続かせてください。すいません。眠気も限界です(笑)

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