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2011年8月26日 (金)

仮面ライダーオーズ第47話「赤いヒビと満足と映司の器」レビュー(2)

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一方、比奈は今まで隠し続けてきた映司やアンクにまつわる話、グリードに関わる話を遂に知世子さんに打ち明けます。映司もアンクも、お兄ちゃんもいない今、彼女が頼ることの出来る人物は知世子さんだけだったのかもしれません。

こんな突拍子も無い事を信じて貰えるかどうか不安な比奈でしたが、大人の寛容さと少女の純真さで、あっさりとその事実を受け入れてくれるのが知世子さんでした。


知世子「ん~ん、不思議なことなんて世界にはいっくらでもあるもの。メダルのオバケ信じるくらい屁でもないわよ」

自身も過去何度も海外を放浪し、幾多の経験を積んできた彼女の理解力・包容力もまたオーズの器並に大きいのかもしれません。不思議だろうが、有り得ない筈だろうが、在るものは在る!まずそれをきちんと認めなきゃ、と云う健康的でポジティブな意識。彼女の素晴らしい部分はそれらもきちんと地に足が付いている事です。冒険もしっかりやるけれど、ご飯もちゃんと食べなきゃ駄目よ的な。奥さんにするにはこう云う人がいいです。

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知世子 「信じられないのは比奈ちゃんのほう。アンクちゃんかお兄ちゃんか、どっちかに決めなきゃとか、映司くんとアンクちゃん、どっちかは戻ってくるなんて、そんなの認めちゃ駄目よぉ。」

比奈 「でも…何もかも都合よくなんて…勝手なこと言っても、実際に戦っている映司くんが辛いだけです…」

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知世子 「んー、正しいのかもしれないけど…でもそんなのつまんなぁい。もっと欲張っていいじゃない。映司くんもアンクちゃんも、お兄さんもぉーって。ちゃーんと欲張れるのは比奈ちゃんだけよ」

比奈 「ちゃんと…欲張る…」

両方助けたいのは比奈ちゃんの欲望です。しかしそれは己の悦楽の為ではなく、純粋に他者を案じる暖かい色をした欲望。前向きで何ら後ろめたい事のない欲望。だからちゃんと欲張っていい、と知世子さんは諭すのです。何かを決めたようにゆっくりと頷く比奈。

しかし、このブレない知世子さんの在り方はいいですね。グリードだろうがオーズだろうが、そんな事は関係ない。ここは二人が帰ってくる場所。この戻るべき場所をじっと守っている立ち位置ってのは1stの立花藤兵衛を思い起こさせますね。

そして己の真実に近付いていこうとするアンク。映司に「力」を渡すんじゃなかったと云う後悔。自分が自分で無くなっていく思い。でも、そんな変わっていく自分を実はアンクは嫌いではないのですよ。多分、初めて感じる心地良い想い。戸惑いはあるものの、間違った方向に向いていないと云う無自覚な感覚。後はそれをきっちりと認識するだけなのです。

「映司からメダルを取るのも忘れてたな…何をしてるんだか…俺は…」

「アンクくん、君は人間に近付き過ぎましたね。ある意味、君の欲望通りですか。」

「ハッ!何処がだ。俺は相変わらずメダルの塊だ。」

自嘲的に吐き捨てるアンクですが、この台詞の裏にはやはり、メダルの塊である自分自身を脱却したいと云う想いが透けて見えます。

「君をメダルの器にするのは中止です!」

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その意味に気付き身構えグリード態になるアンクでしたが、一瞬早く真木の拳はアンクの身体を貫き、その人格が宿ったコアにひびを入れ、残りのコアメダルを根こそぎ引き抜いていました。冷徹極まりないDr.真木にとって必要でなくなったグリードはもはや存在すら邪魔。コアを回収し、その人格や記憶を破壊するのみ。

「君は他のグリードよりはマシかと思っていたんですがね。買い被りだったようです…」

「まったくだな…しかも馬鹿馬鹿しいのは…さっきからずっと…満足してるってことだ」

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さながら血飛沫の如く、その身体を構成するセルメダルが周囲に散らばりながら、彼は満足を感じていました。アンクが感じた満足。グリードならば絶対に感じる事のない「満足」と云う感覚。それは彼が既にグリード以外の生き物に変化しつつある事の証でもありました。

彼が感じた満足。それは仲間を守った自負。

己の存在よりも大事なものを守る事が出来た誇り。

そして、それに気付く事の出来た自分。

追い込まれて、やっとアンクは初めて自分自身の真の「欲望」と正面きって向き合う事になるのです。そしてそれは比奈の欲望と同じく、温かい色をした欲望なのでしょう。

そこにタカカンドロイドを使ってアンクの居場所を突き止めた比奈が現れます。

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「お前…どうして…」

比奈 「もう一度話したくて…これ(注 セルメダルの散乱)…どうしたの…?」

「…別に…この身体は何ともないから…安心しろ…」

「アンクのこと、聞いたんだけど」

「もうすぐ返す」

「返すって…お兄ちゃんのこと?」

「要らなくなる…」

アンクは自分の最期を既に予期していました。そしてそれはグリードである自分自身のみが滅んでいく事であることも。自身の人格を含んだメダルが既に傷付けられ、次に何かの衝撃が加えられれば己自身が消滅していく事も。そこまで追い込まれる事で初めてアンクは真の自分の想いを認める形になるのです。

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「ああ、壊れるだろうな」

比奈 「壊れる…?アンクのメダルが?」

「多分な…」

比奈 「そうなったらアンクは…」

「メダルは壊れれば消える。当然、俺も…消える」

比奈 「それって…死んじゃうってこと…?」

「俺が死ぬと思うのか?」

「だって今そう言ったじゃない!」

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ニコリと笑うアンクの笑顔がとても哀しい。命でありたいと思い続け、でもそれが全てでは無いのだと気付かされ、それでもその「命」が失われる事を畏れ心配してくれるイキモノの存在が在ると云う事。アンクが欲しかったのはその事実の再確認なのです。

「ただのメダルの塊が…死ぬ…か…」

まだ命を持ったニンゲンではない。けれども、それを案じてくれたり嘆いてくれる「仲間」は確実に出来た。それだけで俺はもう十分だ。「生きて」きた甲斐があった。笑って「死ねる」。後は残された時間をどう使うかだけだ。

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「俺が付いてないと相当やばいだろ、あの使える馬鹿は…」

もはやアンクには迷いも憐憫も無い。あるのは己に与えられた時間をいかに有効に使い、自分の「生きた」証を、自分の存在を受け入れてくれた仲間達とその世界を守るかと云う事のみ。アンクは最期の決戦の場へ赴く事になります。

でもアンクの認識の中では映司は「使える馬鹿」だったんですね。若干の照れ隠しも混じってるでしょうけど、「馬鹿」だと云う事に関しては私も賛成致します。ええ、賛成しますとも。あの「力」に酔っ払ってるポンツクは。

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映司 「力です。どんな場所にもどんな人にも絶対に届く俺の腕、力…俺はそれが欲しい」

まだ言ってますぜこのポンツク。映司クンの駄目なところは全てを自分一人でやってしまおうとする事。裏を返せば自分以外の誰も本心では信用していないって事でもあります。

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鴻上会長

「手に入るとも!君の素晴らしく巨大な器に欲望の結晶、その無限のセルメダルを飲み込みたまえ!欲望こそ命の源。欲望は生命の進化を起こす。君もまったく新しい進化を果たす。真のオーズとして!800年前に為しえなかった神に等しい力を手に入れる!しかし、その為には紫のメダルがどぉーにも邪魔だ。このままじゃ真のオーズどころか、真のグリードだよ!」

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鴻上が目論んでいるのは、800年前に錬金術師達が失敗した「神になる」方法。これは鴻上財団としての考えなのでしょうか。それとも鴻上本人の思い描く理想なのでしょうか。

ここでダブルの終盤、ちらっと登場した「財団X」の名前が出てくると非常に嬉しい展開なのですが。ディケイドで一端区切りをつけた平成ライダー。仕切りなおしたダブル以降のバックボーンに密かに鳴り響く財団Xと云う組織を設定すると、物語の連関性も出てくるし、ご当地ライダー達の繋がりとしても活きてくる筈なのです。

伊達 「冗談じゃねえ!真のオーズもグリードも願い下げだ!」

後藤 「こんなメダル飲み込んでみろ、どうなるか」

映司 「俺の器なら飲み込めますよ」

真っ当な意見である伊達や後藤の言葉を意に介さない映司。そこにはある種の驕りも少しだけ見え隠れしています。

そして、映司の持つ残りのメダルを狙って再び現れるDr.真木。

「今日こそ最後にしましょう。君のメダルを貰います」

映司 「貰うのは俺です!」

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「伊達くんですか、人生の終わりを逃したようですね…」

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伊達 「お陰様でね(ニヤリ)あんたも随分変わっちまって…」

「お陰様で…」

このやり取りもちょっとだけ哀しい印象がありました。真木は伊達の事をどちらかといえば苦手で嫌っていましたけども、伊達は結構真木を気に入っていて、ある一時は真木の研究室で確かに一緒に過ごしていた間柄なのです。その伏線があるからこそ、この「お陰様で」の応酬が少しだけ物悲しく目に映るのです。

圧倒的な真木グリードの力に「このメダルは渡さない…手に入れた…俺の力…」と呟き、グリード化する映司の姿。力を切望するグリード、そんなものに映司は変わり果ててしまうのでしょうか。

映司 「世界の終末を止めなきゃ…俺は…この力で!」

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伊達 「馬鹿ヤロウ!その手ぇ見てみろ!そんな手で何掴むっつんだ。何を守る?何処に届くッ!」

「力」に酔い、己を見失いかけている映司には伊達の言葉は届いているのでしょうか。映司は段々と目的と手段が入れ替わってきているのです。

後藤 「何でも一人でやろうとするな!火野!」

「まったく…」

Dr.の嘆息は火野に宛てたものだったのかどうか。

コソコソせずにそろそろ君も動いたらどうです!欲しいのはこれでしょう!」

「…お前が持ってたのか!」

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真木の手から放たれた最期の1枚のメダルがウヴァに吸収され、ウヴァは完全態の姿へ。これは次に続く「暴走したグリード」への第1歩なんですが、虫風情にはそんな事分からんのでしょうなぁ。あげくには自分が虫をベースにした素体であるにも関わらず、伊達さんと後藤さんを「虫けらが…」 と自己否定するようなイケイケっ振り。ウヴァさん流石です。

さあ、泣いても笑ってもあと1回でオーズは終わりです。この1年の想いにどんな決着を付けてくれるのでしょう。

これはあくまで私見ですが、オーズは実はアンクの物語であった様な気がしています。同じ脚本家の電王が実はゼロノスの物語であった様に。

次回予告からも色々と読み取れる情報がありました。次回の記事ではそれをちょっとだけまとめてにましょう。(あと二日だ頑張れ俺)

眠気に揉まれた乱筆乱文、ご容赦下さい。

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