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2014年10月 8日 (水)

仮面ライダー鎧武 最終話「変身!そして未来へ」レビュー (2)

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さあ、鎧武の最終回レビュー後半戦です。

終盤のレビューを書いていてふと感じたのですが、この最終回のレビューは終盤の他の話に較べてとても書き易い印象がありました。脚本はメインの虚淵玄さんではなく、同じニトロプラスの鋼屋ジンさんと云う方。劇場版などの脚本もやられていた方のようです。

今回の一連のレビューの為に台詞起こしをやってよく読み込んでみると、虚淵玄さんの脚本は台詞の内容量がとても多く、下手すると全て台詞で説明している傾向があったようにも感じられます。かなりキツキツな感じで、こちら側が余分な感情移入しにくいとでも云うか。喩えはちょっとおかしいんですけど、司馬遼太郎さんの文体をちょっと感じさせる、情緒的にべったりと入り込まない演出傾向なのかなとも思えたり。それもまた魅力の1つだったのかも。

最終回は良い意味でゆったりと話が流れていったせいか、私好みの物語になっていたような気もします。それではレビュー後半戦、再開です。

貴虎「なんて事だ…」

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フルーツパーラー・ドルーパーズにて対策を練る元・アーマードライダー達。しかしロックシードとドライバーを失っている今の彼らには何も成す術が無い。

ザック「何なんだあのアーマードライダーは!」

鳳蓮「どうやら人間ではないようね」

貴虎「奴はフェムシンムの事情を知っている様だった。まさか…オーバーロードの生き残りか…!」

鳳蓮「まずいわね。オーバーロードと戦うなら、戦極ドライバーが必要よ」

城之内「俺たちのベルトはもう…無いじゃないですか」

ザック「打つ手なしかよ…」

マスター「ユグドラシルに黒いライダーが沢山いただろ?あいつらのベルトは使えないのか?」

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一人壁際で話に参加するでもなく皆の話を聞いていたドルーパーズのマスターがぽつりと呟く。彼はアーマードライダーでもなく戦う術もない市井の住人。ただビートライダーズの連中はこの中年マスターを何故か敬愛し一目置き、彼の店の中でトラブルを起こす事はなかった。それがまたシドによる店内でのロックシード売買の暗躍にも通じてはいたのですが…。

貴虎「黒影トルーパーのドライバーならロックシードごと全て処分した…」

城之内「なんで!?」

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その場の皆が一斉に驚く顔。唯一見えた光明を一言の下に淡々と否定してのけた貴虎に対しての驚愕だ。

貴虎「ユグドラシルのような存在に…二度と悪用させない為だ。ヘルヘイムの脅威が去った以上、もはや戦極ドライバーは必要ない筈だった」

鳳蓮「まさかこんな事態になるなんてね」

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笑うしかない鳳蓮。

貴虎「凌馬が残した設計図を基にドライバーを作り直した処で、ロックシードの方はどうにもならない」

ザック「だからって!このまま指くわえて見てるのかよ!」

確かにドライバーを再生産する事は可能でしょう。だが、そのエネルギー源でもあるロックシードは全て破壊され、生成元であるヘルヘイムの植物群も全て、紘汰の手により遠く離れた異世界とでも云うべき別惑星に強制転移させられています。

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新たなロックシードを作る事は出来ない。落胆の空気に包まれている中、ただ城之内だけが黙って貴虎の横顔をじっと真剣な目で見据えていました。

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黒いアタッシュケースを手に店を出ると何処かへ向かおうとする貴虎。その前にすっと立ち塞がったのは城之内。

城之内「ほーらビンゴ!それ黒影トルーパーのドライバーでしょ?やっぱ残ってんじゃん」

貴虎「…どうして分かった」

城之内「フッ…策士ですから。ま、用心深いアンタの事だ。必ず予備があると思ってたよ。(口調が変わり)それ…貸してよ…俺があいつと戦う!」

貴虎「もう、君たちを巻き込む訳にはいかない。これは私の罪滅ぼしでもあるんだ」

城之内「そんな事言ったって…アンタ前の傷まだ治ってないでしょ?戦いは無理だ」

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言うが早いか、貴虎の手からすれ違いざまにケースを奪う城之内。だが貴虎もあえてすぐに取り返そうとはしない。

城之内「あの…初瀬ちゃんって…」

貴虎「…ああ。初瀬亮二はインベスになって、ユグドラシルに処分された」

そう、彼はヘルヘイムの実を食べてインベスへとその身を変え、既にシグルド(シド)の手でインベスとして殺されていました。

光実考案の新ゲームに参加した際に、彼はヘルヘイムの森で斬月に破れ、その戦極ドライバーを破壊され、死の恐怖を味わいます。

戦闘能力を無くした彼は、チームメイトや相棒でもあった城之内からも見限られ、インベスやブラーボ、斬月に襲われる幻覚に日常的に惑わされるほど精神的に追い詰められていきました。そして再び力を欲したあげく判断能力と理性をなくし、ヘルヘイムの実にかぶり付く事で、新たな力と引き換えに人間としての人生とその命を永遠に消し去ってしまう運命を選び取る事になったのです。

城之内「初瀬ちゃんがああなったのは…きっと、俺のせいだよ…だからこれは…俺の罪滅ぼしでもあるんだ…!」

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トランクケースを開けロックシードを見る城之内は、そこにあるマツボックリロックシードをぎゅっとその拳で握りしめる。まるでそれが初瀬の形見でもあるかのように。

コメディリリーフでもあり、策を弄する日和見主義者・協力相手を利用し漁夫の利を狙うしかない卑劣漢でもあった城之内。だが以前、初瀬と組んでいた時が一番楽しかったとふと紘汰に本音を漏らしていたり、自分でも知らぬ間に彼への友情と喪失感が拭いがたい程の鮮烈さでその心に焼きついていたのです。

初瀬を追い詰めたのは自分のせいだと自責の念に駆られる城之内。だからこそ、初瀬も使っていたこのマツボックリロックシードで、アイツと「一緒に」自分が戦いたい、黒影で戦う事によって、少しでも初瀬に報いたい。それがもう遅きに失する事であったとしても。

ここで描かれるのは城之内の成長。策士気取りの日和見主義であった卑怯な男が、失った友情に報いるため、初めて自分の熱い思いの丈を吐き出す場面。彼は戦わなければならない。そうしなければ初瀬に対してやった事を自分で赦せない。助けを求めて自分の処に来た初瀬を冷酷に切り捨てたその自分の愚かさが許せない。だから、彼は初めて他人の為だけに戦うのだ。彼は既に「自分さえ良ければそれでいい」と云う「子供」ではなかった。

街で暴れるインベスと逃げ惑う人々。城之内はその場へ駆けつける。初瀬への贖罪の心と共に。

城之内「好き勝手やってんじゃねえっ!変身っ!」

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(初瀬ちゃん…!)

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一瞬、かつて一緒に戦っていた初瀬の姿が脳裏に浮かぶ。これは自分だけの戦いではない。初瀬と一緒に戦うんだ。

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「ロックオン」「マツボックリアームズ! 一撃・イン・ザ・シャドウ!」

少女(邪武)「雑魚が笑わせる!」

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その様子を鼻で笑う少女。黒影の攻撃は嘘の様にインベスに的確に攻撃を加えていく。だが、ベースの性能の低いマツボックリアームズでは致命傷には至らず、徐々に劣勢へと追い込まれていく事に。

少女(邪武)「どうした、ボロボロじゃないか」

城之内「うるさいッ!地獄のパティシェ修行に較べれば…このくらい!」

少女(邪武)「よかろう…変身」

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邪武の姿に変わると、二人がかりで黒影を攻撃、遂には再びドライバーを破壊されてしまう。変身を強制解除され倒れこむ城之内。

城之内「こんな処で…!」

邪武「これでもうお前たちに戦う術はあるまい」

光実「そうでもないよ」

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そこにゆっくりと近付いてくるのは光実。手にはブドウロックシード、そして腰には戦極ドライバーを巻いている。全てのドライバーとロックシードは消えうせたかと思っていましたが、光実が失ったのはゲネシスドライバーの方であって、こっちはまだ保管されていたのか…!

城之内「お前…!!」

邪武「呉島光実…」

光実「まだ残ってるロックシードはあるんだよ」

邪武「フッハッハッハ、葛葉紘汰ならともかく、お前如きではどうする事もできんよ」

光実「確かにあの人はヒーローだった…でも、もう紘汰さんはいない。だから…僕たちがッ!ヒーローにならなきゃいけないんだッ!変身ッ!」

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「ブドウ!」「ロックオン・ハイー!」「ブドウアームス」「龍・砲ハッハッハ!」

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嗚呼、光実もまた、紆余曲折、裏切り、絶望、迷いを経て再び光の元へと還ってきた。兄の様に慕っていた紘汰、そしてそれが憎しみに変わり、己の独善で実の兄ともどもその手にかけていた光実。それが全て偽りで間違いであった事に気付き、彼は自分で自分を許す事が出来なかった。だが紘汰も貴虎も許そうとしてくれていたのだ。その思いに応える為には全てを呑み込んだ上で、自分も「大人」にならなければならない。守られているだけの存在ではなく、今度は自分が、自分達が守る側の人間(大人)にならなければならない!それがその思いに応える為の唯一の方法だから。

光実もそれに気付き、決意し、己を変えた。親の手を離れた子供の様に、もはや彼は我儘で幼稚な子供である事を捨て、ヒーローである事、命を懸けて他者を守る無私の責任の本当の意味に目覚めたのだと思います。彼自身の光実と云う名前の様に、黄金の果実でなくとも「光り輝く果実」である為に!

邪武「どこまでも楽しませてくれる…!」

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インベスと邪武の二人を相手に、臆せず立ち向かう光実。執拗な攻撃に押され気味ですが、彼の決意は揺らぎません。

光実「見ていて下さい…紘汰さん。今度こそ皆を守ってみせます!」

邪武「悪足掻きだ。消えろ!」

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倒れながらもその回転の勢いでベルトを操作するその巧者振り。ブドウスカッシュの銃撃が逆転のサインの如く鳴り響き、インベスと邪武を吹き飛ばすとその銃口は起き上がりかけた邪武の頭に向けられる。

光実「とどめだ…」

邪武「いいのか?この身体は人間のものだぞ?」

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変身解除して少女の姿を見せつける邪武。

光実「なんだと?」

邪武「今の私はこの餓鬼の身体を乗っ取っているだけだ。武器を下ろせ。変身を解け。ハッハッハッハッ…」

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止むを得ず変身解除するしかない光実。しかしこのインベスのデザインが一番仮面ライダーっぽいってのが何とも。

邪武「バカな奴め…じっくりといたぶってくれる。安心しろ、他の連中もすぐに後を追わせてやる」

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しかし、2対1で戦いながらも仮面ライダー龍玄1人の前に劣勢になり、しまいには乗っ取った少女を人質にとって降参を迫るなど、過去の仮面ライダーマルス当時と比べるとその戦闘能力は低い…というか明らかに弱体化してるんでしょうな邪武。

光実「すいません…紘汰さん…やっぱり僕は何もやり遂げることが出来ませんでした…」

紘汰『そんなことねえよミッチ。お前、すげえ頑張ったじゃねえか!』

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光実の脳裏に遠い星へ去った筈の紘汰の声が届く。そして何処からともなく巨大な黄金の果実の形状をした光が去来し、インベスを包み込むとそれを四散させる。ん?と不審げな少女(邪武)。

光実「紘汰さん…」

紘汰『やり残した事があってな。コウガネ…お前を倒す事だ』

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少女に取り付いていたコウガネを掌から放射される力でその体内から吹き飛ばす。これはオーバーロードの王ロシュオにも似たエネルギー放射。吹き飛ばされたコウガネはイナゴの群れを集めて代用し、肉体を再生する。

邪武「オラオラオラ!お前を消し去る!」

紘汰『いけるかミッチ?二人であいつをやっつけよう』

光実「はい…紘汰さん」

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「ブドウ!」「ロックオン・ハイー!」「ブドウアームズ」「龍・砲ハッハッハ!」

紘汰『ここからは、俺たちのステージだ!』

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鎧武と龍玄の共闘!!ここで流れるOP!何とも燃える展開!鎧武のOPは平成ライダーの中でも三本の指に入る格好良さだと個人的には思っています。(一番はフォーゼOP)

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剣戟・銃撃と次々と繰り出される二人の攻撃は邪武を追い詰めていく。レビューの為に何度も観返していて、ここでふとある事に気付いたのです。これ、ひょっとして紘汰の姿はコウガネには見えてないんじゃないの?って。声すら聴こえていないのかもしれない。光実の目にだけ映っているパワーを持ったビジョンの様なものなんじゃないかって。

(それでここでの紘汰の台詞はあえて『』で括らさせて貰ったのです)

実像のないエネルギー体だから極アームズへの変身もドライバーを用いずに成し得た様な気もするんですよ。まあ、黄金の果実の力を手に入れ高位のオーバーロードになった男ですから、ドライバー無しで変身するのも訳ないでしょって解釈も出来ますけど。

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常に同時の攻撃。剣の時は剣、銃の時は銃、守護霊の様に常に龍玄の後ろに付き従う鎧武の姿。決して単独で攻撃する事がない。あくまで光実のフォローに徹している。そして銃撃に打ち倒される邪武。

邪武「何故、黄金の果実である私が…貴様如きにィ!」

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そしてここが決定打。邪武は「貴様」と呼びました。二人を指す「貴様ら」ではなく!彼には一人しか見えていないんです。台詞のやり取りやアクションの流れを追っても、実はここに鎧武がおらず、龍玄独りだったとしても繋がる様に構成されている気もします。

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鎧武は常に龍玄の後ろに立ち、シンクロする様に同じ攻撃をしています。二手に分かれて攻撃と云う定法を取らない。

そして先の邪武の台詞に「葛葉紘汰ならともかく、お前如きではどうする事もできんよ」ってのがありましたよね。「黄金の果実の保持者である紘汰が出て来るのなら、自分と対等だが」って意識が透けてみえてますが、この台詞と上記の「貴様如きに」は絶対に噛み合わないんですよ。

邪武はあくまでも龍玄独りと相対しているつもりなんです。本家の黄金の果実の具現者である紘汰が目の前にいるにも関わらず、「黄金の果実である私が…」とも叫んでいるのも不自然な印象は受けました。(まあ、そこは人造黄金の果実なりのプライドだったのかもしれませんが)

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でも、そんな可能性を考えながらこのシーンを観るのもまた楽しいと思いますよ。自分は既にこの世界の住人ではない、だからこの世界を守るのはこの世界の者、次の世代を継ぐ者達であって、自分はその手助けをするのみなんだって紘汰が考えているようでもあって。

その場には存在せず、それでも力を貸してくれている事が見る者に分かるってシーンだと、つい、こんなのを思い出しますね。

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「ダークネススカッシュ」

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その攻撃を軽く手で止め、一振りで何事も無かったかの様に霧散させる紘汰。そのパワーの差は歴然とし過ぎてさえいる。

紘汰『前にも言ったぞ。お前なんかただの金メッキだと…。行くぞミッチ』

光実「はい!」

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二人で同時ジャンプ。邪武目掛け、とどめのダブルキックを放つ。自称:黄金の果実に対し「お前なんかただの金メッキだ」と言い放つ紘汰の自信。彼はもう神話の世界の住人なのです。

「ダークネスオーレ」

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慌てて巨大な林檎のエネルギービジョンを作り出し、それをぶつけ防ごうとする邪武。しかしそれは紫の林檎。腐った林檎。紘汰が指摘した様に金メッキは既に剥がれ落ち、正にRotten Apple【腐ったリンゴ、(周囲に悪影響を及ぼす)困り者、不良】でしかなかった哀れな男がこのコウガネでした。

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二人のライダーキックはその巨大な腐った林檎ごと邪武の身体を打ち砕き、四散させました。爆炎が一瞬邪武の顔を象りそして消えていきます。憎悪のエネルギーだけが凝り固まったフェイクはもう二度と蘇る事はないのでしょう。或いは遥か先の事か。しかし、ヘルヘイムに端を発する戦いはこれで終わったのです。

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邪武を倒した二人の向こうに大きな夕日が沈んでいき、全てを紅く染める光の中立ち尽くす紘汰と光実。

光実「紘汰さん!」

紘汰「その様子だともう大丈夫みたいだな。言った通りだろ。もう一度やり直せるって」

光実「はい。(消えかける紘汰)待ってください!紘汰さんに伝えたい事、沢山あるんです!」

紘汰はそれには応えない。ただ優しそうに笑うのみ。そして肉親であった姉・晶への言伝を頼んで光実の前から消えていきます。光実が伝えたかったのは感謝、愛慕、謝罪、決意、様々な感情。でも何も言わなくても紘汰はもう全て分かってくれていたのかもしれません。

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God helps those who help themselves.(天は自ら助くる者を助く)この諺の如く、自分の足でしっかりと大地に立ってさえいれば、もう大丈夫だよって。本当に困って、自分達だけで解決不可能なときでも、精一杯頑張ってさえいれば、またこうやって手伝いにくるぜって。

紘汰「貴虎と仲良くな。あと姉ちゃんに、俺は元気だって伝えといてくれ(微笑む)」

光実「紘汰さん…」

紘汰「俺たち、いつまでも仲間だぜ…ミッチ」

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消えていった紘汰の言葉を心に刻みながら、ミッチの顔には爽やかな笑顔と、そして決意が浮かんでいました。

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「ミッチ!」「ミッチ!」「おい!ミッチ!」

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城之内や鳳連、ザック、みんなが光実の元へ。そしてゆっくりとにこやかに笑いながら歩いてくる兄・貴虎の姿。

光実「みんな!」

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こぼれそうな笑顔で迎える光実。彼はもう吹っ切れました。自分が自分である事、過去も現在も未来も、彼は全てを呑み込んで本当の意味での自分の足でその人生を歩き始めたのです。

今回、最終回とその近辺で描かれたのはアーマードライダーになった者達の大人への成長の姿でもありました。大人になりきれないまま、或いは不慮の事象でその命を喪った者も多かったのですが、残った彼らは皆、何がしかの成長を遂げ次世代を守る者への道を歩き始めたようにも見えます。

ザックは皆を率いるまでのリーダー素質を開花させ、狡猾な卑怯者であった城之内は真っ当に人生に向かい合う真摯さを手にし、光実は己の贖罪も含めた全てを受け入れ力強く前を向いて生きる事を知りました。最初から大人であった貴虎と鳳蓮の二人は忘れかけていた「大人の責任」を改めて思い出す事にも繋がりました。

今とは違う自分になる事、今よりも強くて優しい自分になる事、それが変身なんだよって事をこの物語を観ていた子供達に伝えたかったのかもしれません。

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そして沢芽市の何処か、ひょっとしたらユグドラシルタワーの跡地か、高司神社の跡地だったかもしれない空き地の真ん中に大きな木が生えています。そこに駆け寄る二人の小学生くらいの子供達。まるで子供時代の戒斗と紘汰を示唆するかのように、赤・黒の服と青系の服の二人組。

子供A(青い服)「ここって空き地じゃなかったの?」

子供B(赤と黒の服)「すっげんだよ!いきなりクワーって生えてきたんだよ」

子供A「姉ちゃん姉ちゃん!これ何?」

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子供Aの姉「これ…鎮守の森のご神木」

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子供A・B「へえぇぇ」

子供Aの姉「さ、練習練習!」

その木の傍で何事もなかったかの様にダンスの練習を始める子供達。このシーンは何処かの空き地にいきなりご神木が生えたのでも、ユグドラシルの跡地に生えたのでも、過去の沢芽、或いは別次元の沢芽市の話でも、死んでこの地に葬られた戒斗の体内にあった種が芽吹いたのでも、どう捉えても良いのだと思います。

元々高司神社のご神木は、フェムシンムの世界からうっかり紛れ込んだ種が大樹として成長したものだと云う設定があったようです。何故か繁殖せずに単体で樹齢のみ重ねていたヘルヘイムの植物。ヘルヘイム由来のものでクラックを開き易い性質を持っていた為に、人造クラックを作る目的で高司神社はユグドラシルから立ち退きとこのご神木の接収を受けたのでしょう。

貴虎からは「理由のない悪意」、凌馬からは「時空を超えた侵略的外来種」と呼ばれたヘルヘイムの植物の圧倒的な繁殖力が何故この樹にだけ作用していないのかは分かりませんが、そこには神社の祭りで奉納され続けてきた巫女の踊りも何か関係があったのかもしれません。ダンスによって、或いは舞を踊る事が出来る世界である事が、この樹を只の樹としていたのかもしれませんね。もしそうだったら、ダンスって題材をこの物語に組み込んだ意味が少しだけ見えて、面白いかなとも思いました。

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そしてすうっと大樹脇の空間から光と共に現れる戒斗の姿…!優しそうな目で無心に踊る子供達を見つめるその横顔。キャスト・スタッフのテロップが流れ始めます。本当の物語の終わりの始まりです。

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舞「どう?戒斗」

戒斗の傍に佇む舞の姿。

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舞「みんな過去を乗り越えて前へ進もうとしている。人類にはまだまだ…未来があるよ」

戒斗「だが…いつかまた間違える。再び争い…傷付けあう」

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舞「そうだね。そしてその度にやり直す。間違いを正しながら少しずつ…歩いていく」

戒斗「やはりお前は、強いな。」

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優しく微笑みながら消えていく戒斗。

舞「さよなら…戒斗」

この戒斗の姿が残留思念なのか、ご神木に宿った魂なのか、それは何なのか分かりません。ただ戒斗は笑っていました。自分は出来なかったけれど、間違いを正しながら少しずつ歩いていける、そんな人間の世界を少しは信じられたかの様に。彼はここで沢芽の街をずっと見守っていくのでしょう。

紘汰「じゃあな…駆紋…戒斗…。舞、俺たちも自分の未来に…進もう」

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舞「うん、行こう…紘汰」

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クラックを開き、遠い宇宙の果て、新たな生命と歴史を作る名も知れぬ星に彼らは還っていきます。間違いを正せる世界に、闇に灯りをともせる世界に、そんな世界を作る為に。そしてこの地球の世界を終わらせない為に。彼らは新しき世界のアダムとイブ、創世神として還っていきます。そして、ここに永い鎧武の物語はその幕を閉じました。

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妙な雰囲気に引っ張り込まれて、ずっと観続けていた鎧武。とても面白かったです。細かな粗は幾らでもありましたが、それを吹き飛ばすほど「面白い」って事はこういったフィクションの最重要課題だと思っています。一部には不評の声も聞こえてましたが、私の様にとても楽しく1年を過ごさせて貰った人も多いと思います。

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この1年、ずっと観続けていたTV番組はこの鎧武だけでした。楽しい時間を本当に有難う御座いました。キャスト・スタッフの皆さんに心から感謝致します。

また章を改めて、備忘録か何かをちょっと書くかもしれません。それでは、こんな冗長なブログにお付き合い戴いた方々にも感謝致します。有難う御座いました。また気が向いたら遊びに来て下さい。それでは!

PS

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最終回当日、出演者の皆さんは鎧武ファイナルステージのリハーサルで集まっており、リアルタイムに控室で皆で観ていたようですね。ファイナルステージ、こちらの地元でもシネコン使ったパブリックビューイングでリアルタイム上映されるんですが、三千円ってのはちょっと高いなー。どうしようかしら。

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コメント

あら、よく見たらIPアドレスが同じだったのでこっちの記事にまで出張されたんですね円谷の記事にコメントしてた方。ご苦労様です。

信者とか言われても困るなぁ。駄作だと思う人には駄作だし、楽しめた人には面白い作品だったと思いますよ。それはウルトラも同様。

「ギンガ以降のシリーズを見てもいない癖に駄作と決め付けるわけだ」、と書いてますけど、コピペで良いのでそれが具体的に本文の何処を指しているのか教えて貰えると助かります。多分、そんな事俺一言も書いてないと思うんだよね。

そーゆーのを藁人形論法と呼ぶんですよ。

でそれに煮詰まると後は人身攻撃ってのがよくその辺に転がってる安易なルーティンパターンです。覚えておくと為になるかも。

投稿: イシュト | 2017年1月26日 (木) 00:34

ああ、平成ライダー屈指の駄作の鎧武信者だったんだ。
道理でギンガ以降のウルトラシリーズを見てもいない癖に駄作と決めつけるわけだ。

鎧武信者がこういうクズしかいないってのが改めてよく分かりましたよw

投稿: | 2017年1月16日 (月) 22:53

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