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2016年4月16日 (土)

帰ってきた「何故ウルトラマン(円谷プロ)は商売に失敗するか」

別に帰ってこんでもいいわ!の声が聞こえた気もしますが。

書きかけの記事を散乱させたまま放置してるこのブログですが(たまに思い出したように書き足し、また放り投げて、そのうち旬を過ぎ削除、みたいな)、やはり鉄は熱いうちに打てが原則、先日3年前に書いたこの記事「何故ウルトラマン(円谷プロ)は商売に失敗するか」 http://guinguin.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-77c6.html に対して頂いた幾つかのコメントを読み返しているうち、若干脳内が整理されてきたような気もしてちょっと続きを書き散らしてみようかな、なんて。

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※私は評論屋でも筋金入り頑強マニアでもなく、昭和の時代に普通にウルトラマンを熱心に見ていた子供世代の人です。当時は割とマニア寄りだったかもしれんけど。

 

※暫く(ウン十年)特撮から離れてましたが、子供の御供で見始めたシンケンジャーやダブルでハマり、またこの世界にちょっとだけ返り咲いております。但し常駐していません。もう既に子供もニチアサ卒業してます。(現在8才)

 

※最後に観たウルトラシリーズは80。平成以降の作品は一度も観ておりませんので、まったく的外れな事を書くかとも思いますが、そこはものを知らぬオッサンの戯言と、薄ら笑いで軽くさらっと流して貰えると幸い。マウンティングには非協力的です。

 

※と云うより、昭和の頃は観てた、平成になってから(大人になってから)は観てませんって世代も多いとは思うのですよ私らの年代。元々子供をメインターゲットとした番組ですしね。その年代にはこーいった考えを持つ人もいて、こんな意見を述べているんだなー、程度で生暖かく理解して貰えると僥倖。

それではどうぞ。無駄に長いですよ。

前回書いたブログに関し、様々な賛否両論コメント頂きまして有難う御座いました。、色々考える契機を得たこのテンションのまままとめてみようかと思います。あ、コメントにあった2chの方もさくっと覗いてきました。プチ炎上してたんですねw 道理でほぼ放置で年2~3回更新、1日300~400の閲覧数が二日で2000くらい来てる訳だ。まあそれはそれとして。

賛のスタンスでコメントされた方は昭和メイン世代、否のスタンスでコメントされた方は平成メイン世代が多いのかな?と(勝手に)仮定で括ったうえでこれを皮切りとして話を進めてみましょう。

平成シリーズに関しては何度も書きますが全て未見です。なので前回のブログでもその旨、「観てないから的外れな意見かもしれないですが」「推測ですが」と注釈も入れておいたつもりだったのですが、一緒くたに平成シリーズまで貶された!と気分を害された方もいらっしゃったようで、その辺の表現が的確でなかった点に関しては大変すまんですご容赦下さいぺこり。

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私が前回の論点で主眼に置いていたのは主に昭和2期です。(それはそれでまた別な藪から蛇をつつき出してしまう気もする)

平成シリーズに熱心なファンが未だに付いている事実などからも、平成版は前回のブログで書いた「子供を子供扱い」してはいない作品ではなかったと云う仮説を立てて話を進めます。なんで仮説かと言えば、そりゃ観てないから何も判断出来ないってだけなんですけど。(今さら全部観れるかーい)

この辺はどれの何話だけでも観ろ!のご意見あれば参考になります。薦められてハマれば観ます。カウボーイビバップもそれで全話DVDで観ましたよ。最終回くらいなら動画サイトでも観れるのかな。

※前回のコメント欄でとある方からネクサスやウルトラセブンX、ガイアが薦められていたのは有難かったです。北風と太陽の寓話ですねこの流れ。

ただ様々な状況・事情から視聴率や物販が右下がりになった事、最終的にその株式や経営権を創業家が手離すような羽目になった事、これらは紛う事なき事実。そこはまず共通認識として確定したうえで進めてみましょう。

さて、まず自分の脳内を整理するためウルトラシリーズを年代別に仕分けてみます。

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【昭和1期】 (1966~1967) ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン

※(2年半ブランク)

【昭和2期】 (1971~1974) 帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ

※(6年ブランク)

【昭和3期 (1980) ウルトラマン80

※(16年ブランク)

【平成1期】 (1996~1998) ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンガイア

※(3年ブランク)

【平成2期】 (2001~2006) ウルトラマンコスモス、ウルトラマンネクサス、ウルトラマンマックス、ウルトラマンメビウス

主なシリーズをまとめると以上でしょうか。この他にもアニメのザ☆ウルトラマンや海外市場のUSA、G、パワード、出光タイアップのゼアスなどもありますが、これらはメインシリーズからは除外して考えます小面倒臭くなるので。あとネオスなども。

創業家が離れてからのゼロギンガなどもここでは論点的に除外。 旧円谷の経営が何故失敗したか、を論じようとするブログ記事ですから、新体制での円谷はこの話に関係ない。そちらはそちらで(視聴率はともかく)物販で利益が回り、CFとして上手くいっているならそれはそれで良し。そこも論じなきゃ駄目なんですか?以降は「別な会社」ですよ経営陣。

あと各作品別のウルトラシリーズ視聴率一覧。この辺は幾つか検索しましたが、手元にきちんとしたデータがある訳ではないので目安として考えます。

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ウルトラQ

平均視聴率 32.4%

最高 13話 ガラダマ 39.2% 

最低 1話 ゴメスを倒せ!26.5%

ウルトラマン

平均視聴率 36.8%

最高 37話 小さな英雄 42.8% 

最低 4話 大爆発5秒前 29.4%

ウルトラセブン

平均視聴率 26.5%

最高 2話 緑の恐怖 33.8% 

最低 41話 水中からの挑戦 16.7%

帰ってきたウルトラマン

平均視聴率 22.7%

最高 51話 ウルトラ5つの誓い 29.5% 

最低 15話 怪獣少年の復讐 14.3%

ウルトラマンエース

平均視聴率 18.6%

最高 1話 輝け!ウルトラ5兄弟 28.8% 

最低 18話 鳩を返せ! 49話 空飛ぶクラゲ 14.3%

ウルトラマンタロウ

平均視聴率 17.4%

最高 1話 ウルトラの母は太陽のように 21.7% 

最低 53話 さらばタロウよ!ウルトラの母よ! 18.0%

ウルトラマンレオ

平均視聴率 10.3%

最高 1話 セブンが死ぬ時!東京は沈没する! 17.6% 

最低19話 よみがえる半魚人 6.6%

ウルトラマン80

平均視聴率 10.0%

最高 2話 先生の秘密 18.7% 

最低 27話 白い悪魔の恐怖 6.4%

ウルトラマンティガ

平均視聴率 7.3%

最高 14話 放たれた標的 9.9% 

最低 50話 もっと高く!4.4%

ウルトラマンダイナ

平均視聴率 6.4%

最高 1話 新たなる光(前編) 9.0% 

最低 45話 チュラサの涙 3.8%

ウルトラマンガイア

平均視聴率 6.2%

最高 3話 その名はガイア 8.4% 

最低 46話 襲撃の森 3.8%

ウルトラマンコスモス

平均視聴率 5.6%

最高 20話 ムサシの空 25話 異星の少女 7.7% 

最低 54話 最終テスト 3.4%

ウルトラマンネクサス

平均視聴率 3.0%

最高 1話 夜襲ーナイトレイドー 5.2% 

最低 16話 迷路ーラビリンスー 1.7% 

ウルトラマンマックス

平均視聴率 4.0%

最高 1話 ウルトラマンマックス誕生! 5.3% 

最低 28話 邪悪襲来 29話 怪獣は何故現れるのか 3.0%

ウルトラマンメビウス

平均視聴率 3.8%

最高 39話 無敵のママ 6.4% 

最低 15話 不死鳥の砦 16話 宇宙の剣豪 1.5%

なお視聴率数字に関してはそれらを明示していた各サイトは引用先として以下の資料を挙げています。

ビデオリサーチ、ニールセン、小学館別冊てれびくん13ウルトラセブン、双葉社帰ってきたウルトラマン大全、タロウLD Vol.14ライナーノート、レオDVDライナーノート、etc

ついでに今回の旧・円谷の話と直接関係はないのですが、創業家が離れ一度解体された後の円谷プロとしてのウルトラシリーズの数字は判る範囲で以下の通り。参考までに。

ULTRASEVEN X

平均視聴率 1.6%

最高 4話 DIAMOND"S" 2.4%

最低 9話 RED MOON 1.1%

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル

平均視聴率 1.3%

最高 5話 べラルゴシティの罠 1.7% 

最低 1話 怪獣無法惑星 0.9%

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY

平均視聴率 1.4%

最高 7話 第二覚醒 2.3% 

最低 10話 新たな戦いの地平で 0.9%

ウルトラマン列伝

ウルトラゼロファイト含む

平均視聴率 1.3%

最高 12話 お父さんを救え!カオスヘッダー大襲来!! 2.5% 

最低 83話 ティガ・ダイナ&ウルトラマンガイア最終章「超時空の大決戦」 0.4%

新ウルトラマン列伝

平均視聴率 ※※%

最高  ※※% 

最低  ※※%

ウルトラマンギンガ

平均視聴率 ※※%

最高  ※※% 

最低  ※※%

ウルトラマンギンガS

平均視聴率 1.3%

最高  2.0% 

最低  0.5%

ウルトラマンX

平均視聴率 ※※%

最高 ※※% 

最低  ※※%

ゼロやギンガ、Xなどはウルトラマン列伝 新列伝といった番組の中で放送されていたものらしく視聴率について詳しく判りませんでした。ご存知の方がいらっしゃれば幸い。ギンガSの数字は知恵袋で挙がっていたものです。しかし構成が判りにくい…。近年は録画環境の変化やネット等での視聴もあるので、一概に数字を以前のものと比較してもあまり意味はないんですけどね。とは云え、1%台を行ったり来たりみたいな感じの様子。

視聴率どうこうよりも、玩具類の売上や版権でペイ出来てればOK、の世界なのかな。

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さて、論点を明確にするため、以下の項目ごとに分け、自分なりの推察を続けてみます。リアルタイムで考えながら同時進行、尚且つ少しずつ少しずつ何日かに分けて書いていますので、内容の重複等ありましたらご容赦ください。多分くどくなるとは思います。←それはいつもの話。

1) 旧・円谷の凋落原因は果たして資金繰りだけの話だったのか?

 

2)子供騙しの定義とは?

 

3)ウルトラマンとは?怪獣とは?

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1) 旧・円谷の凋落原因は果たして資金繰りだけの話だったのか?

さて、円谷の凋落の原因は資金繰りに行き詰ったから、そこはまず大前提の話。会社経営のうえで一番大事な部分。「そこがおろそかだったから円谷はコケた、良い作品も作っていたのに」…そこにはまったく異論無し。ただ原因があるから結果が出るのであって、金融機関が融資してくれなくなった、関係企業が融通してくれなくなった、社内管理がいい加減だった、と云う結果へと導く「原因」は何だったんだろうかと云う部分。そこが今回の肝です。

良いものが必ずしも「売れる」ものでは無いのもまた事実。

同じ映像作品で喩えるなら、鈴木敏夫プロデューサー参入以前と以後のジブリの興行成績がそれに当てはまりますかね。

※まあ逆に「売れた」から良いものだ、ではないんですけど 、魔女の宅急便以前のジブリ作品は決して内容的に良いものではなかった、だから売れなかったのだ、と主張する人は少数派だとは思います。売り方の問題、価値観の提示の問題、パブリシティ(露出)の問題、時運、様々な要素がそこには絡みます。

 

※あとこの鈴木Pや東映の白倉Pを認めてたからこの人は何も理解してない、みたいな意見もあったんですけど、認める認めないではなく良くも悪くも「個」としての揺るぎないパワーを持っていた人だなと云う評価です。それは実績から考えれば良い事。好き嫌いの話ではありません。

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「売れる商品」であった筈の平成シリーズが円谷の財務を回復させるに至らなかった理由は、作品の内容以外、銀行やTV局からの不信感を払拭できなかった事、ザル経理(平成に至ってもある時期まで帳簿等は手書きの経理事務だった、とあります)によるものであったとする主張には確かに頷けるものはあります。

問題はその根本にあった「楽観思想」が経営面のみならず、本丸である制作にも反映しなかったか?と云う疑問です。

経営の楽観思想は悪い意味で財務のどんぶり勘定として表出しましたが、制作の楽観思想は前ブログで述べた「子供を子供扱いする」制作意識として一部に現れたのではないか?と云う可能性を考えているのです。

予算度外視で経費を使うが、新年度になればまた新たな放送料とマーチャンダイジングのお金が入ってきて経理がうやむやになり、実質赤字を誰も把握しないまま(或いは気付かぬ振りをしながら、或いは対応できないまま)動いていた経営陣。仮に番組制作が立ち行かなくなっても、規模を縮小し版権収入だけに頼れば生き延びていけると考えていた経営陣。

この大雑把な「社風」が制作サイドにまったく影響を与えなかったとするのも少々無理がある気はするのです。

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制作の「楽観思想」は数字が落ちてからのテコ入れに「子供が喜ぶもの」を入れました。

※ここからの話は中盤からの帰マン、エース、タロウに該当する話です。シリーズ全体を通したときに、この3作が作り上げたイメージの「負債」は余りにも大きいとさえ思ってます。前ブログで主に述べた(つもりだった)のはここ。

子供が喜ぶ派手な描写、きらびやかさ、分かり易いストーリー、子供は諸手を挙げて喜んだ筈です。それは視聴率の復調や物販の回復となっても表れたとも思う。だがしかし。

これは一時的なカンフル剤であって、シリーズの長期生存の観点からすると極めて強い副作用を引き起こしてしまったとも言えます。

整合性の取れぬその場限りの何でもありな発想、子供だからこんな感じだと喜ぶっしょ?的な媚び、元々が幼児・児童をメインとした番組であったが故に喰ってしまった毒饅頭。

確かに一時的に視聴率の数字も若干は持ち直すだろうし、物販の売上拡大にも繋がる。だがそれはその時だけ。後に続かない。残らない。影響を及ぼさない。いや、悪い影響を残してしまったかもしれない。子供に受けるためならシリーズ全体の整合性は問わない、適当で良い、目を引くシーンさえあれば良い、とする発想。

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これによく似た事例として日本マクドナルドの盛衰を思い出しました。

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創業社長である藤田田(デンと発音してください)晩年の失策の1つともなった低価格路線の見直しとFC展開の拡大で日本マクドナルドを立て直したと言われた後任の原田社長(元アップルコンピュータ社長兼米国アップルコンピュータ副社長、後にベネッセ会長兼社長)が実際にマクドナルドに引き起こしてしまったマイナス要素。

直営店を減らし、3割程度だったFC店を7割まで増やす事により本部経費の大幅削減とFCオーナーへの店舗売却益により会社を黒字回復させた手腕。確かに利益回復と云う観点からは何か間違った事をしていた訳ではない。

但し、これはこの時だけに通用する話。FC店が7割になった事でグループ全体の大幅・迅速な改善がほぼ不可能になってしまったから。状況に応じ、臨機応変に対応しなければいけない場面で、以前ならトップダウンで迅速に一斉に行えた改革が、逐一7割のFC店舗オーナーの了解を個別に取りつけ了承を得なければ全く動きが取れなくなってしまった。

会社そのものがこの緩慢な動きになってしまっていた段階で起きた例のナゲット騒動。文字通り大幅なイメージ改善を大至急行わなければ生き残れない場面で、やはり緩慢なお茶濁し対応しか出来なかったのも事実。

これらの出来事で受けたマクドナルドのダメージは途轍もなく大きく、FC化増進で増えた利益なぞ軽く吹き飛びました。その場その場だけ乗り切る事を考え、近視眼的に先々を考えなかったと言われても仕方のない事であろうとも考えます。

「彼は破壊屋であって再生屋ではない。一時的にマクドナルドに利益をもたらしたが、現場は荒廃した。見せかけの利益を出すために、メニューだけでなく店舗が劣化してしまった」

そう評された原田社長の構造改革の結果と、昭和2期におけるウルトラシリーズの状況、非常によく似ていると思いませんか?(俺だけですか?)

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目先の利益のために本質を食い潰してしまった事例。無論、これは事後に結果だけを見て素人が勝手にあざとく論じているだけであって、当時現場で必死になって頑張っていたスタッフ達の努力を否定するものではありません。

しかし結果としてエース、タロウが「名作足り得たか?」と聞かれれば、それは歴史が証明しているとしか言えません。注目されるのもリバイブされるのも、初代であり、セブンである(或いは平成版もそうなのかもしれない)事実が、それを暗に示していないでしょうか。

長期シリーズにおけるマンネリ化、と云う必ずシリーズが陥るマイナス側面とその打破を差し引いたとしても、昭和2期における作品の扱い方は乱雑であったと言わざるを得ません。別な言い方をすれば高を括ってた。子供が喜ぶものそのものだけを与え続けていればそのままシリーズの寿命も延びていくと勘違いしていた。

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前述の視聴率一覧を読み込めば判るように、平均視聴率は初代ウルトラマンをピークとしてあとは右下がりを続けます。(その斜度に急激な変化が出るのは後半ですが)

また最高視聴率は帰マンまではシリーズ中盤にそれが現れるのに対し、以降は第1話が最高視聴率になっている作品がかなり多い事が窺えます。これは視聴者の期待の表れと、その期待に沿えなかった作品内容、といった状態を示唆してはいないでしょうか。

もちろん様々な社会情勢の変化もあるし、視聴率そのものは番組の質をダイレクトに表すものではなく、CMを見て貰った割合をスポンサーに示す為のデータでしかないのもまた事実ですが、ここにはやはり無視できないウルトラシリーズの内容の変遷が浮き出てきているとは思います。

子供は子供扱いされることを嫌う、これは前ブログで述べ、そして次項にも関わる事なのですが、とにかく子供の成長は早いです。「子供だからこんなの喜ぶでしょ?」の思想は、もう少し上の年齢層の子供たちの見限りに直結してしまった。

※ここで言う「子供」とは番組の特定ファンと云う意味合いではなく、子供として子供番組を観ていた子達を指します。

これは視聴者層が幅広くならず、どんどん低年齢化固定していく罠に自ら落ちてしまったとも言えます。無論、昭和2期を呼び起こした原動力が、度重なる再放送や「ウルトラファイト」などの総集編を観た低年齢層にあるのも事実です。

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そして子供は常に「新しい」ものを好みます。昭和2期においては同じ時代にマジンガーZなどの巨大ロボットアニメブームが起こり、子供たちはこぞってそちらへ流れていきました。ウルトラシリーズはどんどん間口が狭くなっていき、低年齢層をメイン視聴者(まああながち間違いではないのですが)とした結果、子供ら自身がウルトラは子供が観るもの、と位置づけてしまったのではないか、を前の記事では類推したつもりでした。

沖縄タイムスに沖縄出身である脚本家・上原正三さんのインタビュー記事が掲載されていました。同じく沖縄出身の脚本家・金城哲夫さんにも触れておりかなり興味深い記事でしたので、長いですが抜粋引用してみます。

「ウルトラマン屈指の異色作 沖縄出身脚本家・上原正三さんが挑んだタブー」

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=160369

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「金城が企画文芸室長で僕が副室長。66年1月から始まった『ウルトラQ』がヒットし、さらに66年7月に始まった『ウルトラマン』で、円谷プロは隆盛期を迎えた。金城は常にその中心にいてね。67年10月から始まった『ウルトラセブン』も、『ウルトラマン』ほどではないが視聴率は取れていた。金城の書く作品は本当に素晴らしかったよ。特に、メインライターを務めた『ウルトラQ』『ウルトラマン』、そして『ウルトラセブン』の最終回は彼の真骨頂だ」

 「円谷プロ初の1時間番組『マイティジャック』が68年4月から始まったが視聴率が悪く、赤字を累積させた。それで円谷プロは金城を降格させ、切った。あれだけの功労者を会社は切ったんだ。金城は見るからに意欲を失ってしまった」

 「TBSの橋本プロデューサーから『ウルトラマンをもう一度やるから戻ってこい』との連絡が来た。一度は下火になった怪獣物だったが、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』が再放送されると人気が再燃していた。それで新作を作ることになり、僕は『仮面ライダー』を離れた」

 「それで、長男の一さんがTBSを辞めて円谷プロの社長になり、『新しいウルトラマンで、おやじの弔いをやるんだ』と意気込んだ。『帰ってきたウルトラマン』(71年4月~72年3月)は、お鉢が回るような感じで僕がメインライターになった。すると、円谷プロは第1、2話の監督に映画『ゴジラ』の本多猪四郎さんを連れてきた。巨匠だよ。まさに円谷プロの決意の表れ、おやじさんの弔いへの熱意の表れだね。でも、俺は何を書けばいいのかとびびってしまった」

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金城さんのウルトラマンとは。

「無風快晴。一点の曇りもない。彼のウルトラマンは伸びやかさがみなぎるんだ。物事をまっすぐに見つめ、マイノリティーの視点を持ちながらも抑制を効かせ、ファンタジーに収めていた。50年前の作品なのに、今も魅力が全然失われない。現在までいろいろなヒーローが誕生しているが、いまだに初代ウルトラマンを超えるキャラクターはない」

 「初代ウルトラマンの第30話『まぼろしの雪山』で山奥に暮らす怪獣ウーを攻撃する科学特捜隊を、少女が猛烈に批判する。金城にもそういう反戦的な部分、圧倒的な力で制圧することへの反発はあったと思う。僕も金城もウチナーンチュだから、無意識の部分でもマイノリティーの視点を持っている」

 「でも金城は明るい男。意識的にそういうテーマを表に出さず、抑制を効かせていた。『ウルトラセブン』の第42話『ノンマルトの使者』に沖縄を投影させたという説があるけど、金城はそんなに意識していなかったと僕は思う。ファンタジーの中でしっかりと収めるのが、金城のウルトラマン作品のすごさだ

それでは、上原さんのウルトラマンは。

「金城のウルトラマンは一つの完成形。そのコピーでは、やる意味がない。仰ぎ見る主人公ではなく、町工場で働く兄ちゃんが困難にぶつかりながら成長していく物語にした。近未来ではなく、公害が深刻だった70年代の東京を舞台に、リアリティーの追求に腐心した。例えば怪獣がビルを壊すと、僕は人々ががれきの下敷きになる場面を作る。これは金城にはない発想。でも僕はやる」

 「初代ウルトラマンと変身するハヤタは一心同体だけど、意思はどちらにあるのかはぼんやりした設定になっている。それで僕のウルトラマンは、変身する郷秀樹の意思を持つ設定にした。また、初代は仰ぎ見るイメージだけど、僕のウルトラマンは子どもの目線に下げようとした

 「だから『帰ってきたウルトラマン』は僕をはじめ、いろいろなライターがやりたい放題にやっているよね。初代『ウルトラマン』のような透明感はなく、斜(はす)に見た感じの物語が主流になっていった」

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当時帰マンのメインライターをやられていた上原さん自身が語る「子供の目線に下げようとした」の言葉は、私の類推もそれほど大きく外れてはいなかったのではないか、と思わせます。

この辺の時代は第二次怪獣ブームや特撮作品ブームでもあり、大量生産に伴う物理的な質の低下が同時にあった事の影響も大きいでしょう。

ただメインの視聴者層が低年齢層だったとしても、そして確かにそれがシリーズを復活させた原動力であったとしても、同時に「作る側」がそれのみに囚われてはいけなかった。

無制限な設定の拡大強化、子供に理解し易い身近なホームドラマ設定の重視、及び舞台の設定はウルトラマンでさえも擬人化・卑小化させてしまったともいえます。それが当時円谷が考え抜いたベストウェイであったのだろうし、そこを否定するつもりはありません。ただ結果としては昭和2期はシリーズ全体の中でも「子供っぽい」イメージになった事は事実だと思います。

そしてそのまま(たとえ自転車操業だとしても)資金繰りさえ整っていれば、ウルトラシリーズは何の問題もなく続いていたでしょうか?

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例えばタロウの牧歌的・童話的な回がそれなりに人気あったのも分かるし、それを否定するものではないけれど、そういったあえて言うなら「設定のいい加減さ」で徐々に離れていった層を補えるものではなかったとも思います。

シリーズ開始当初は、子供目線、そして若干の(咀嚼された)大人目線の両立を含有していた作品群の筈でした。大人目線、言い換えればそれを通じて伝えたい事の明確さとも言えます。それははっきりと子供の印象に残らなくたって構わない、ただ物語の底に流れていた「何か」に対する違和感にいつか気付く事さえあれば。

低年齢層向けにシフトしたフォーマットがビジネスとして正解だったかどうかまで私には断言出来ませんが、そこは結果から遡って判断するしかないと思います。付帯要素が幾つもあったとしても。

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そして先に述べた「この大雑把な「社風」が制作サイドにまったく影響を与えなかったとするのは少々無理がある」、とする仮定に基づいて以下のように考察してみます。

経営の在り方と制作の在り方はリンクしている、いやリンクしていない訳がない。

番組制作と版権収入で喰っている会社の命運を握るのは作品そのものです。内容や展開についての最終決済権を持っているのは経営陣です。ここに異論はありませんね?

※ここではあえて局や金融機関等とのしがらみや信頼関係の悪化を除いてまとめます。

いや、円谷は自由闊達な社風で、内容から展開まですべて制作陣に丸投げで経営陣は一切自分たちの会社が作る(それも命運を握っている)作品に関して何も知らなかったしノータッチだった、と主張されれば、あーそうだったんですか、と言うほかないですけど。

では2つに整理してみます。

①経営陣は番組内容に最終決済権を持っていた(これは当たり前の話だと思うけど)

…より幼児化を進める方向にゴーサインを出した

②経営陣は自社の番組内容を把握していなかった

…そりゃ会社も潰れます

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昭和2期がより子供目線であった事、結果として尻すぼみになっていった事、子供をメインターゲットとした番組を作りながらも「子供を子供扱いした」事がこの負の連鎖ドミノの一番最初の駒になったと思しき事。そしてそれは制作体制の話だけではなく、経営陣の考えが大元にあった事。

子供向けの「枠」のなかで低年齢層の子達を満足させながら(これは果たした)、そのちょっと上の年代の子達を引き続き引っ張れる素養がそこには少なかった。または盛り込もうとしたかもしれないが、それが表にまで抽出されてこなかった。

いっそ完全に「幼児向け」としてシフトする方向もあったとは思います。それこそアンパンマンと肩を並べるような内容で。どっち付かずのまま、枠だけは従来通り、中身は低年齢層にもっと判り易くする方向に舵を切った訳です。

コメントでも頂いてましたけど、子供受けと大人受けの微妙なさじ加減がそこにはなかった。さじ加減をあえて無視し、子供の好む甘味料を多めに配合して派手なパッケージで覆ってしまった。乱暴な言い方かもしれませんが、「小さな子供専用」のラベルを自分で貼ってしまったのにも近い。結果から窺えるのは市場展開の先細り。

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この辺が銀行やTV局との関係性にも影響を与えた可能性はないでしょうか。会社としての放漫経営、そして並列で生まれた「創作性」とその「商売化能力」への信頼度のダウン。

銀行が金を貸さない

これは融資限度の話。担保の話。不良債権化確率の話。累積赤字の話。今までの経営状態の話。そして今後の経営状態への推察の結果としての借金一括返済の要求。(正直これが旧円谷にトドメを刺した)

TV局が全国ネットとして扱わない

これは視聴率の話。スポンサードの話。そして過去の人間関係の話。仁義の話。

※私も以前、広告業界の末端で十数年仕事して、ローカルの番組を作ったりもしてましたので、メディア界隈にはびこる非常に「仁義」を重んじる風潮、それが今も色濃く残っている事は肌で感じています。

ここで浮かび上がってくるのは旧円谷への信頼度の話です。ビジネスとして大きな金が絡むのだから慎重になるのはまず当然の話。社の方針として低年齢向けに旧円谷は舵を取った訳ですが、一時的には上がるものの、結果として数字や物販は回を重ねるごとに徐々に低迷。この辺りの「子供が本当に望んだもの」と円谷が考案・提供したものの「読み」のズレ。

これも銀行やTV局への信頼度を押し下げる要因の1つになっていたのではないでしょうか。

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無論、それが全ての原因ではなく、そう捉えられても仕方ないような書き方をした前ブログについては言葉足らず、私の理解不足であったと思います。ただ、完全に無視できる程度のファクターではないとそれは今でも考えています。

そしてこれらが前回今回のブログで論じた子供扱いの話と、資金繰りさえOKだったならばシリーズは存続できた、に対する私なりの推察なのです。(長いくせにかなり粗いけどね)

そして以下は数年前にコメント欄で私が返信した内容ですが、やはりこーゆー事だとは今も思っています。

「>>円谷の失敗は作品作りにあまり関係していないことだと思えるんです」

私 「>>でも一番の失敗は人材を育てなかった・ノウハウを蓄積しなかった・経営者が近視眼的にしか先を見ていなかった、に集約されると思います。作品作りそのものではないけれど、作品を創る土壌の維持構築の失敗。

 種や苗が幾ら素晴らしくても、幾ら真剣に世話をしても、土がおかしければ結果として作物はきちんと育ちませんし、次世代に繋ぐ種も厳しくなります。作品作りの手法そのものの失敗ではないにしろね。

 根幹の部分、作品作りに多大な影響を及ぼす根っこ(体質)での失敗は、やはり作品を正常にエスコート出来なかったと云う部分で関係してるかなと個人的には感じてます。」

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ものの良し悪しは職人さんの腕に左右されます。しかし一度失った職人としての信頼(或いはそれらを扱った会社の信頼感)を取り返す事は生半可な事ではありません。旧円谷は昭和2期において、知らぬうちに自らに大ダメージを与えていたと考えるのは、それ程おかしな事でしょうか?

さて、次は2)の「子供騙しの定義とは?」に移りたいと思うのですが、相変わらずの駄文長文がもうかなりの量になってます。一旦ここで切り上げ章を変えて次の記事に回します。

ここまで読まれた方、有難うございます。ご苦労様でした。しかし長いねこれ。

では次回の"「何故ウルトラマン(円谷プロ)は商売に失敗するか」エース"でまた会いましょう。

PS この辺で熊本の地震があり、何だかこんな事やってる場合じゃないよなの気分も少々

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コメント

「叩かれて、荒れると分かって何故書いたのかが謎」

とか言われても「自分はそう思ったから」としか言えないんですけど。「ここ」私のブログだし。

荒れようが荒れまいがそこは私の範疇ではないです。逆に聞きたいのですが、荒れると思ったら、自ブログだろうがそちらに「忖度」してなだめるような記事を書くのが正解なんでしょうか?

はんか臭え。

異論反論はそーゆー意見として受け止めますし、納得できればそーゆーもんかなと得心します。それ以上でも以下でもないです。

それ以前の問題として、何故気に障ったのかを考えるのも一興な気もします。鼻で笑って他愛もないテキストだとすぐに忘れ去る事もなくね。

他人に嫌な思いをさせる事を一義目的としてこのブログを続けてる訳ではないので、ムカついた、の意見はそれはそれで分析としては有難いのですが、何故ムカついたかの自己分析まで書いて戴けるとそれはそれで有り難いです。

投稿: イシュト | 2017年8月19日 (土) 00:05

叩かれて、荒れると分かって何故書いたのかが謎

投稿: | 2017年8月18日 (金) 17:03

皆さん、これが第1期ウルトラシリーズの信者です。
第二期ウルトラシリーズを汚すだけでは飽き足らず、ギンガ以降の評判の高いウルトラまで汚す始末。

悪い事は言わないからさっさと死ねば?老害の1期信者おっさん
あとアンタの大好きな鎧武は平成ライダーでもトップクラスで評判悪いからねw

投稿: | 2017年1月16日 (月) 22:55

結局反論から逃げてて草、そもそも見ていないのにドヤ顔で論評してる時点で論外。
今のウルトラマンはギンガ→ギンガS→X→オーブと右肩上がりで評判か高まってるのに何言ってんだか

更にアンタが大人向け大人向け言ってる今の平成ライダーの方がどんどん子供騙しになってるんですけどね。

まぁ典型的な第1期ウルトラシリーズ信者の気持ち悪さを濃縮した典型例として、今後はこのブログを引き合いに出させてもらいますw

投稿: | 2017年1月16日 (月) 22:54

銀行融資がとまったのは平成三部作後の話ですよね?

投稿: カンタベリー | 2016年7月11日 (月) 06:25

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