漫画家

2008年3月23日 (日)

上條淳士&単行本未収録初期作品

久し振りに漫画家カテゴリーを追加。ちびの夜泣きで起こされてからずっとネットしてる日曜日の朝6:20…。コトノハのサーバーがまた落ちたみたいなんでブログ更新しときます。

上條淳士は最近作品を描いているのかな~。公私ともに相方だったYOKOさんと別れてからは、あんまり見てない気がする。というより雑誌を読まなくなったので単行本が発売されないと進捗が分からないのです。「SEX」の単行本もこの別離の影響(著作権の問題・YOKOさんが描いた女性キャラ等の描き直しの問題)で刊行が再開されるまで足掛け12年も待たされたし。しかも旧版では一部効果的に使われていた2色パートカラーがなくなり、紙質も悪くなり、版型まで小さくなるなど、ちょっと問題ありだったんですが、まあ12年も経ってやっと続きが読めたんだから文句はないですけどね。

↓ちなみにこれが旧版

上條淳士/Sex 1









上條を気に入ったのは、実は今の端麗な絵柄のときではなく初期の雑然とした読みきり時代のこと。ストリートチルドレンが跋扈する退廃した瓦礫のスラム街、壁にペイントされた実在のパンクバンドの名前、スパイクや鋲を打ち付けた革ジャンやリストバンドを身に纏った登場人物達…。パンクを聞き始めてた頃ということもあり、もの凄く惹きつけられました。映画「ウォリアーズ」や「マッドマックス」、「爆裂都市」といった廃墟スラムっぽいモノにハマっていた時期でもあったし。

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これが多分最初に読んだ上條の漫画だと思います。YOKOさんの名前も入ってるし。切り取りが雑なのは勘弁してください。この頃は綺麗に保管するという頭が無かったので(笑)前編後編に分かれたこのギャグ、そう当初はギャグから入ってるんですよこの人。まるで江口寿史みたいですねー。この後も数本描いてますが、この味はしばらく残ってます。

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これも基本ギャグですね。後のZINGYに登場するJ(だったっけか)の原型もいます。パンク少年という紹介文が可愛いですね。

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次に見かけたのがこれ。今までとスタイルの違う学園モノなんですが、これは多分編集者から学園モノのギャグを描いてみてよと言われたんだろうなーと推測。この他にも幾つかあるようなんですが、全部は網羅できず私の手元に残ってるのはこれだけ。

そして初の週刊連載となったZINGY。

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初期のパンクス達の雰囲気を残しつつも、近未来SF(少しギャグ)でSTART。初連載ということもあり原作付きなんですが、これが雁屋哲なんだよ、美味しんぼの。この頃でいえば男組・男大空の。これが噛み合わない噛み合わない(笑)読んでるとその微妙な空気が紙面から感じられてちょっとしたストレス。まあそこそこ面白いんだけれど、上條の絵柄にどうしても雁屋の旧態依然とした物語展開は合わない。上條もそれを感じてたらしく、原作にはないギャグや、コスチュームを特化させることにのみ後半はのめり込んでいったようにも見える。ある程度「仕事」「週刊連載の練習」と割り切って。

そしてこの後「TO-Y」の単独連載が始まり、人気を博し現在に繋がる訳ですが。このTO-Yの連載中に現在の絵柄への整理が行われたようにも見受けられます。今読んでも面白いよこれ。描きたいものを描いてる楽しさが前作とは違い感じられます。作中の時代背景は確かに現在とはズレてしまいましたが。まだこの頃は今のようにロックはメジャーではなかったから。

上條はこの当時(今もなのか?)STUDIO ZIZOU名義の制作プロを作っていたようで、初期作品の端々にそのプロダクション名の落書きがあります。そこのスタッフも何人かプロ化しましたが、最初はやはり上條の影響のある亜流になってます。

これとか

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これ。

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中津賢也は今でも活躍してますね。むたこうじは「そのとき歴史は動いたコミック版」とかそーゆーのでまだ描いてるみたいです。いま検索してみたんですが。

これら(アシスタントは含まず)の初期作品群は絶対に単行本化しないと思うんですよね。今とあまりに絵柄が違い過ぎていて、本人が拒否するのが見えてます。よっぽどのマニアじゃないと買わないだろうし。作品一覧はwikiのこちら。あーやっぱかなり読んでないのがあるわー。

現在はあのスタイリッシュで緻密な絵柄から、量産には不向きになってしまったように思えますが、逆に全編フルカラーの1冊3000円くらいの新作を出したらどうでしょう。俺は買うけど(笑) 本人は江口寿史と大友克洋に影響受けてたよーな気はしますが、彼の影響を受けた後進の漫画家は多いと思います。寡作になってしまったのが非常に残念。

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2007年11月 7日 (水)

ながいけん

ナオンと彼らだけの蜜あふるる約束の地、モテモテ王国。これはモテモテ王国建国を目指す彼ら親子の物語である。」

というキャッチから始まるのが、今に至るもある種のマニアに絶大なる人気を誇るカルト漫画「神聖モテモテ王国」(週刊少年サンデー掲載)である。

このブログタイトルもさりげなく其処から頂戴している(タイトル考案中すぐ手元にあったから)

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1巻の発売は既に10年も前ですよ?6巻(1999.12初版)まで発売されたものの単行本未収録作が残ったまま、現在に至るも続刊は発行されず。数年前、ヤングサンデー誌上にて「神聖モテモテ王国YS」と銘打ち短期集中連載で再開されたものの、それもまた単行本化されず…。

異能のギャグ作家としてネット上では信奉者が絶えないながいけんだが、かつて20数年前、月刊ふぁんろ~どというマニア雑誌において素人投稿&素人連載からスタートしている。1発目のハガキ投稿からインパクトあるギャグをかまし、一気に常連へと駆け上がる。(確か、うそうそホント、ホントうそ♪と歌うフクちゃんにゴーグルイエローが「ハッキリしろ~!」と強烈なアッパーをぶち込む2コマ漫画だったと思う。)

その後、2~4頁の異能シュール漫画(ムーミン谷の攻防とかね)を投稿し続け、次々と掲載されていく。どちらかというと他の投稿者の殆どがある種ヲタ・同人的な雰囲気であったこの雑誌を、「電波系」ともいえる独特なギャグセンスで席巻していく。高校生当時、彼の下手なんだけど訳の分からん面白さに凄くはまった。年齢も近く、変なセンスに親近感もあった。

後半はむしろ投稿ではなく編集部からの依頼で随時掲載をしていたように思う。初の単行本もこの出版社からだ。↓

チャッピーとゆかいな下僕ども 大増補版 Book チャッピーとゆかいな下僕ども 大増補版

著者:ながい けん
販売元:大都社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ちなみに単行本収録されていない投稿作品等はかなりの量あるが(詳しくはこちら)本人はあらためてそれらを公の場に公開されることを望んでいないらしい。こんなことなら大学卒業してアパート引き払うとき、マンガファンロード売っぱらうんじゃなかったよ…。確か1~4まで持ってましたよ、ええ。ながい閣下の頁だけ切り取るかコピーも考えたんだけど、引越しの最中にそんな時間ねえもんね。持っていく書籍の量がハンパじゃなかったんで必要最低限以外は捨てるか売るかしました。勿体ねえ。今ならヤフオクで幾ら値がつくことやら。

その後、ふぁんろ~どを読むこともなく、バックナンバーは大学卒業の折、全部古本屋に売っぱらってしまった数年後、いきなりサンデーに連載しているながいけんの名前を見つけてしまう。衝撃を感じた。ふぁんろ~ど内でも異端児扱いされていた彼が、彼らの手の届かないメジャー雑誌に連載をしているのだ!正直痛快だった。ザマみろヲタ共と思った(お~い俺もヲタですよ?)

絵柄も若干洗練され、背景が上手くなり(アシスタント?)電波なギャグの強烈さは増し、その余人には考えもつかない異常なネーム運びは、高橋留美子をしてファンですと言わせてしまう程のパワーを持っていた。

それだけのパワーを持っていたからこそ、よくいわれる天才ギャグ漫画家の宿命、「ギャグ漫画ってのは己の魂をスライスして作品を作っていくもの。だからそれが無くなった時点で作家生命は終わり」という先人(赤塚不二夫・鴨川つばめ・山上たつひこ 等)の例に漏れず、奴も消えてしまった。あまりに短く眩く燃焼したかのような姿は尾崎豊を彷彿とすらさせる(いやまだ死んでませんよ?)

今も彼の復活を願っているファンは数多い。というかギャグ漫画家のレビューなのになんでこんな堅苦しいんじゃろ?(何かの陰謀?)

以下のようなネームは通常人には考え付かない。彼が今神経を病んでたとしても驚かんよ実際。

「わしが来たからには、早く男を皆殺しにしてください。そうすればララァも喜ぶ」

「調査チームの報告では…わしの耳には賞味期限の切れたプリンが入っとると思うが、とったら死ぬ」

「くっ…やはりJリーガーの丸秘テクニックを身につけるには一生に一度はサッカー神ジーコ巡礼の旅に出たいが、奴の居所がわからん。やむを得んから越後屋を拷問してジーコのありかを吐かせろ。金田喜稔さんの解説付きでな」

「逃げ遅れたナオン等ございましたらお気軽に声をかけてください。男は死ね。こちとら慈善事業やってんじゃねえんだ」

「さっそくミッションインポッシぶることに成功。なおこのテープは返却時に巻き戻してください」

「百人一首の犯人は紀貫之。ザクの犯人はシャア。デカン高原の犯人は綿花。縄文時代の犯人は縄」

「落ち着けバカお前のものなんて茶碗くらいしかないくせに」 「ま…まさかわしのパワーの源かもしれない例のびっくりコスモ茶碗を?あれさえあれば今年も無病息災じゃよ?」

「ピーという発信音のあとにドリルミサイル発射。なになくなった?よくさがせ」

「やせ蛙 負けるな一茶 戦え一茶 飛び立て急速上昇 高度五百mでオレンジ色に発光して戦闘意欲を高めよ  一茶 やせ蛙につっこんでいくところで第一部完」

ながいけん…復活してくれよいつか。

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2007年10月18日 (木)

永井豪

あくまでも「昔の作品においてのみ」という定義はつきますが、物凄く影響を受けた漫画家です。当時の絵柄はよく下手だ下手だと言われますが、私はあの頃の絵(特にガクエン退屈男の頃)が今も大好きです。青年だった永井豪の狂おしい程のテンションでのみ描けた類稀な絵柄だと思います。

デビルマン

手天童子

バイオレンスジャック(マガジン版)

凄ノ王

この4作は幼い頃の私の宝だったように思います。若干それで性格形成に影響受けたよーな気もしますが。(笑)この中でもやはりデビルマンと初期ジャックが珠玉です。キャラだけでなく物語そのものが凄まじいパワーを持つと、作品に取り込まれてしまうという経験を味あわせて貰ったことには深く感謝します。多分死ぬまで私の本棚に鎮座している筈です。売る気も捨てる気も一切ありません。

あの頃の作品が濃厚なガムシロップだとしたら、近年の作品はまるで緑茶のようなあっさり感。確かに以前に比べ絵柄は洗練され綺麗になりましたが、ただそれだけ。心に爪あとがざっくりと刻み込まれるような衝撃を受けることが「まったく」無くなりました。作者本人も歳をとり、読者である私も歳を取ったせいなのかもしれませんが、寂しい限りです。

あの頃のような絵柄とテンションで描く永井豪の破壊的世界の新作をもう一度読みたいという叶わぬ夢を今も心の底に抱いています。

Devil これはデビルマン本編ではありませんが…笑

ネタ元http://www.fantoma.info/enmaden-source/afreco-source/afrec23.html

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2007年9月22日 (土)

たがみよしひさ

この作家さんの作品ならばどんな駄作であろうとも必ず目を通しておきたい、そんな作家さんって皆さん少なからずいらっしゃいますよね。作品個別のファンではなくその作家のファン。自分にとってのそんな漫画家さん達をちょこちょこまとめていきます。

たがみよしひさ

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私、現在40歳ジャストですが、初めて見かけたのは無論出世作「軽井沢シンドローム」中学卒業する頃だったかな?当時大好きだった高橋留美子のめぞん一刻が読みたくて買ったビッグコミックスピリッツに連載されていました。高橋留美子は結局「らんま1/2」の途中で読むのやめちゃったんですが、たがみさんはいまだに本を見かけると(古本屋含む)必ず買って帰ります。

癖のある絵柄は読者を限定しそうですが、一時期にスピリッツの読者アンケート第一位を獲得したこともあるんですよね。堤大二郎主演(耕平ちゃん役)でTVでの実写ドラマ化計画もありました。(結局、撮影中のスタッフ事故死によりオクラ入り・ちなみに純生役は林家こぶ平/当時名)

現在病気療養中でほとんど作品は書いていない筈です。20年経って描かれた続編「軽井沢シンドロームSPROUT」のあとがきに詳しいですが、腱鞘炎から始まり、アルコール依存、ある種の神経症的な症状など軽くギャグっぽくさらりと流していますが近年の絵の荒れ方をみると洒落にならないような凋落っぷりです。この続編では耕平ちゃんも中年になり、なおかつ前作のある事件を契機に神経を病んでしまっているのが作者とオーバーラップしてなんとも切ない。

いまや消えた漫画家にランキングされそうな勢いですが、3頭身ものではなくリアルなたがみさんの奴が読みたいなぁ。以前忍者モノやると聞いて凄く期待してたんですが、出てきたのが「お江戸忍法帖」。これはこれでいーけれどさ、「HERO」・「フェダーイン」のときのようなテンション、「化石の記憶」・「ウォン」・「ファイター」・「滅日」のときのような綺麗な絵柄で滅茶苦茶クールな忍者漫画を描いて欲しかった~。アニメ映画の「獣兵衛忍風帖」みたいな奴。絶対に似合うと思うんだよ。絵柄もストーリーも。アップになった頭巾からのぞく鋭い眼光の絵とか頭に浮かぶもの。異能の力を持つ異様な忍者達とか。ぜ~ったい面白い筈なんだけどなー。今でも心の底のほうで足の小指の爪の先ほどの期待を膨らませてる。

作者一番の長期連載になった「Nervous breakdown」で漫画家としての精も根も尽きたのかなぁ。三輪クンと安堂ちゃんのコンビは大好きだったけどこれも後半失速気味だったし。作者自身失敗作と断言した「Frontier line」よりも同じ戦記ものでありながら近年の「ベルリンの豹は最悪に面白くなかったとか。

波はあるけれど、大好きな作家の一人なので良かったらぜひ読んでみてください。

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